2019年3月31日 サンデーモーニング(中編)

2019年3月31日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年3月31日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 日韓関係の悪化について報道された部分
② 世田谷年金事務所所長の更迭について報道された部分
③ 「風を読む」にてトランプ大統領とイスラエルの関係について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 世田谷年金事務所所長の更迭について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR】
関口宏氏:Twitterに差別的な投稿、いわゆるヘイト投稿を繰り返していたとして、日本年金機構世田谷年金事務所の所長がこの日、更迭されました。韓国人について、「来日することは、日本の社会不安の増大、特に治安の悪化に直結する。」など、匿名で投稿。本人は事実関係を認め謝罪。投稿は削除されましたが、竹下さん、このことについてちょっとボードを使ってご説明いただきたい。

【コメンテーターの発言(ボード説明)】
竹下降一郎氏(全文):今回、年金事務所所長の、まあ差別的な発言。これインターネットのヘイトスピーチって言われてるんですよね。例えば「売国奴」だとか「非日本人」、「サヨク」とか。保守主義的な思想をもとにして、インターネットで排他的な言葉を吐くと。例えば特定の国、中国とか韓国への憎悪、憎しみとかですね。まあそういったことなんですが。じゃあどういう人がヘイトスピーチをやってるかっていうと、かつてはですね、若者とかインターネットを使ってる人って言われてたんですが、実は経営者だったり管理職だったり。今回の年金事務所の所長さんもそうですが、社会的立場ある中年男性、そういった方も多いというふうに言われています。こういうヘイトスピーチをする人。2つに分類されます。ネット右翼と言う人達と、オンライン排外主義者。どのぐらいいるのかというとですね、ネット右翼。8万人ぐらいの調査をしたことがあるんですが、ネット右翼は大体1.7%。このぐらいいるとされています。一方でオンライン排外主義者は、3.0%。少し多いんですね。一つひとつ見ていきます。ネット右翼の人というのはですね、保守主義的な思想をもとに排外的な言動を繰り返す人。例えば韓国とか中国出て行けとか、そういったことを言う人たち。一方のオンライン排外主義者はですね、必ずしも保守的な。性質を持ってないんですが、非常に排外主義的。特定の国の人たちへ、すごく差別的な発言をしている。この数の差。何があるかというとですね。ネット右翼という人たち。右翼という言葉が示す通り、ある程度、政治とか外交とか、歴史について勉強した上で発言しないといけないんですが、こちらのオンライン排外主義者はそういった知識もなしにですね、単に特定の国の人たちを出て行けと。言ってみれば、発言しやすいんですね。そのために、少し多めになっているし、なおかつ今後増えると、そういった心配の声もあります。こういったインターネット上のヘイトスピーチ、ヘイト発言についてどう対策を取っていくか。非常に難しく一つはやはりこの、SNSの規制ですね。SNSを運営している会社、TwitterとかFacebookの会社なんかも、こういう「売国奴」とか「非日本人」とか差別的な発言を排除しようとしたりとか、そういった発言をする人達の利用を停止する。そういう動きもあります。ただ、やはり私はですね、インターネットの自由なところとか、言論の自由というのを信じたいので、こういったネガティブな対策だけじゃなくて前向きな対策も必要だなと思ってます。「良貨で悪貨を駆逐する」ではないですが、インターネット上に溢れているこういうヘイト発言に負けないぐらいですね、より建設的で、よりポジティブな言論というのをこれから構築していかないといけないですし、私もメディアの編集長として、そういった良質なコンテンツ、良質な記事というのを発信していきたいなと。一方でやはりインターネットを使っている一人ひとりの方もですね、単にこういった発言、良くないなと思うのは大事なんですが、それ以上に、この発言が目立たなくなるくらいポジティブな発言というのがインターネットで増えてほしいなと。一人ひとりのインターネットユーザーの今後の良識というのが、今回の事案を通して問われていると思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の1点です。

1、竹下氏のボード説明に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

では、この問題について順を追って解説します。
まず、今回の報道における竹下氏のボード説明をまとめると、以下のようになります。

・今回の発言のような差別的発言はヘイトスピーチと呼ばれ、保守主義的思想を背景とした「売国奴」「非日本人」「サヨク」といった言葉のことである。また、中国や韓国への憎悪を背景とした排他的な言葉もこれにあたる。
・ヘイトスピーチを行うのは若者だと言われていたが、今回のように社会的立場がある中年男性も多いと言われている。
・ヘイトスピーチをする人は2種類に分けられ、保守主義的思想と政治外交に関する一定の知識を持つ「ネット右翼」と、知識を持たない排外主義者である「オンライン排外主義者」とが存在する。
・こうしたヘイトスピーチの対策として、SNSでの発言を規制する方法という後ろ向きの対策だけでなく、メディアや個人がポジティブで建設的な発言をたくさんしていくべきだ

しかしながら、
・まず、現時点でヘイトスピーチという語句には確立された定義が存在しない
・一般的には「特定の個人や集団を人種・宗教・思想などの属性に基づいて差別する表現」という解釈がなされており、保守主義的思想に基づくものだけがヘイトスピーチだという主張は事実に基づかず、また立場の偏った主張である。
・「売国奴」「サヨク」といった保守の言動のみをヘイトスピーチとして一方的に取り上げ、「ネット右翼」「ネトウヨ」といった左派の言動をヘイトスピーチとして扱わないことは政治的に公平とは言えず、また事実に基づかないものである
・ヘイトスピーチを行う人間をネット右翼とオンライン排外主義者に限定することも政治的に公平でなく、事実に基づかないものである。また、そもそもネット右翼とオンライン排外主義者という定義はまったく一般的ではない
・保守主義の発言をヘイトスピーチと認定し、左派的な意見を「ポジティブで建設的な発言」「良質なコンテンツ・良質な記事」とするのは事実に基づかず、政治的に公平とは言えない

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏のボード説明は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」、ならびに同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、政治的に公平でない偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にてトランプ大統領とイスラエルの関係について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。
① 日韓関係の悪化について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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